授業№35 合理論(デカルト)、プラグマティズム
T.Q.「デカルトの学問観とは、どういうものか?」
T.A.
デカルトは方法的懐疑から「我思う、故に我在り」という結論に達し、自我が出発点であるとした。さらに演繹法に
よる事実の導き方を考え出し、物心二元論では機械論的自然観を主張した。このようにデカルトは、神にとらわれ
ない新しい科学的な考え方を説いた。
2022(R4)年度
1月10日(火)
デカルトさんの「考えている私は存在している」という考え方が、良いなと思いました。(また、)ロボと人間の違いについて、私が
ロボではないことを証明するときに、演繹法と「人間は死ぬという原則」が使えると思いました。
授業担当者のコメント:パスカルさんも「人間は考える葦」「人間の偉大さは考えることができるということにある」など、デカルト
さんと同様に考えることの重要性を主張していましたね。しかし二人は、「神」については真逆の考えを抱いて
いました。またパスカルさんは、デカルトさんの物心二元論に反対の立場(物心一元論。身体と心を分けることは
できない)でした。だからパスカルさんは、現在のAI(人工知能)やロボット開発には反対したかもしれませんね。
AIもロボットもいつかは心を持って、心を大切にしない人間に戦いを挑むことになるから?
「(道具主義のメリット)」
私はまだ知識がとても少ないし、知識を増やす方法も知らない。しかし、これからは道具主義(アメリカで主流の実用主義=プラグマ
ティズム)の哲学を心に秘めて色々な事に挑戦し、試行錯誤を通して知識を改良させていこうと思った。
授業担当者のコメント:「ポジティブ心理学」という心理学に、「人生(幸せ)を決めるのは、50%が遺伝、10%が環境、そして行動が
40%である」という考え方があります。あなたの「ウルトラ80」を読んで、そのことを思い出したので紹介しました。
遺伝はしょうがないけど、環
なれます(^_^)
2021(R3)年度
1月21日(金) 3I倫理
「プラグマティズム」 ※( )内は授業担当者
「何が善かよりも、どうしたら善が実現できるかが大事」という言葉で、自分が思ったこと(がある。すなわち)それは、「いいことを
しようとするのは大事だけど、それがさらにいいことになるにはどうしたらいいかを考えるのも大事だ」と思った。
授業担当者のコメント:「さらにいいこと」を試行錯誤の行動で検証するという考え方は、プラグマティズムの具体的な場面での応用として
素晴らしいと思います。
「プラグマティズム」
アメリカのプラグマティズムで、「考えを行動によって検証する」ことは大切だと思った。(また、)「やらずに後悔するより、やって後悔する」
という考えを心に残しておきたい。
授業担当者のコメント:去年の3年生で、次のように書いてくれた生徒がいました。紹介します。プラグマティズム(という哲学の名前)が、
よくアニメで聴く言葉だと思った。そしてそれは、「やらずに後悔するより、やって後悔した方が100倍ましだ!」
という言葉だ。私のコメントは、次の通り。もしかして「ワンピース」とか…? 登場人物(気のいい海賊たち)が、
いかにも言いそうな台詞(セリフ)ですね。あなたは、行動主義のプラグマティズムという哲学を、具体的に理解
できていると思います。
「物心二元論」
人間は行動する際に考えすぎてしまって行動できないことが多い。けど、「心」で動けば不可能じゃないと思う。だから、「やらずに後悔するより、
やって後悔する方がいい。
授業担当者のコメント:なるほど、デカルトの物心二元論(物質と精神<頭・心>を2つに分けて考える)とアメリカのプラグマティズム
(行動主義哲学)の両方のいいとこ取りをしたウルトラ80ですね。
1月26日(水) 3K倫理
「個々人にとっての真理」 ※( )内は授業担当者
今回の授業で、私にはデューイさんの言葉が刺さりました。(そして)他者に非難されるものだとしても、自分自身にとって善い影響をもたらして
くれるなら、(それは)誇っていいものだと思いました。
授業担当者からのコメント:自分自身の行動と、そのプロセス(過程)や結果で得られる善い影響が、自己肯定感やプライド(誇り高さ)を高めて
くれるのでしょう。あなたは、1年間の倫理の学習に挑戦するという行動によって、「生きることにプラス」な力や
態度を育んでくれたと思います。ありがとうございました。
「コギト=エルゴ=スム」
「私は考える、ゆえに私はある」という言葉が心に残った。なぜなら、たまに自分の存在や価値を見失うことがあるから。
授業担当者からのコメント:倫理の授業に登場した色んな哲学者や宗教家の考え方が、あなたの存在や価値を認めて・肯定していると思います。
あなたの「ウルトラ80」は、しっかり考えて書かれた素晴らしいものでした。
人の考え方は道具であり、どう使うかは自分しだい。だから、倫理の授業をムダにするかしないかは自分しだい。
授業担当者からのコメント:授業で紹介した「人生(幸せ)を決めるのは、50%が遺伝、10%が環境、そして行動が40%」(「ポジティブ心理学」
の言葉)という考え方を、倫理の授業とこれからの自分自身の生き方に応用してくれていますね。素敵です!
「物にも心がある」
自分は物にも心があると思う。だから、物に名前をつけたりするのはいいことだと思った。
授業担当者からのコメント:私が名前をつけている物の例は、250ccのバイク「スイミー」、一番お気に入りのバドミントン・ラケット「エクス
カリバー」です。バイクは愛馬のよう、ラケットは刀(剣)のように命(魂)を宿していると思っています。
~番外編~
「デカルトの学問観とは、どういうものか?」
人間はいつか死んでしまい終わりがくるから、ロボット(人造人間、アンドロイド)には負けてしまうけど、人間が(死なないで)終わりがこない
ようにできないのかな、と思った。
授業担当者からのコメント:死ななくなった人間(永遠の命を手に入れて、「死ねなくなった」人間)は、とんでもなく不幸で悲惨な気がします。
人間は、命に限りがあるからこそ幸せになろうとか、他者を幸せにしようとか思えるのではないでしょうか。ジブリ
作品で言うと、「ゲド戦記」で描かれているテーマですね。
「なるほど」
「遺伝が50%、環境が10%、行動が40%」というのが、めっちゃ「なるほど」って思った。
授業担当者からのコメント:私も、ある本(歴史学者のユヴェル=ノア=ハラリさんが著者の『21レッスン:21世紀の人類のための21の思考』)
を読んでいてこの言葉に出会い、「なるほど」って思いました。
「プラグマティズム」 ※( )内は授業担当者
プラグマティズムという考えで行動して、(その正しさを)どのように検証したのか気にな
授業担当者からのコメント:「有用なことが真理である」「なにが善か考えるよりも、どうすれば善が実現するかを考えることが大事」などの
プラグマティズム哲学の正しさは、アメリカ合衆国の力強さや勢いで検証されているのではないでしょうか。
「一年間」
今日で、一年間の倫理の授業が終わった。最初はとても長いように思ったが、始まってみれば「一瞬」だった。
授業担当者からのコメント:私の感想は真逆で、今年度の3年倫理の授業は、「最初はとても短いように思ったが、始まってみれば…だった」です。
でも、この「ウルトラ80」での「対話」は、とても有意義でした。「生徒と先生のコラボレーション(共同作品)」として。
1年間、ありがとうございました。
2020(R2)年度
11月16日(月) 3K倫理
「(道具主義)」 ※( )内は授業担当者
道具主義は、「その距離を競うより どう飛んだか どこを飛んだのか」というAKBの曲の歌詞に似て
いる気がした。(だから、プラグマティズムの哲学に興味・関心を持てた。)
授業担当者からのコメント:紹介します。「365日の紙飛行機」です。素敵な歌詞ですね。
朝の空を見上げて 今日という一日が
笑顔でいられるように そっとお願いした
時には雨も降って 涙も溢れるけど
思い通りにならない日は 明日 頑張ろう
ずっと見てる夢は 私がもう一人いて
やりたいこと 好きなように 自由にできる夢
人生は紙飛行機 願い乗せて飛んで行くよ
風の中を力の限り ただ進むだけ
その距離を競うより どう飛んだか どこを飛んだのか
それが一番 大切なんだ さあ 心のままに 365日
星はいくつ見えるか 何も見えない夜
元気が出ない そんな時は 誰かと話そう
人は思うよりも 一人ぼっちじゃないんだ
すぐそばのやさしさに 気づかずにいるだけ
人生は紙飛行機 愛を乗せて飛んでいるよ
自信持って広げる羽根を みんなが見上げる
折り方を知らなくても いつのまにか飛ばせるようになる
それが希望 推進力だ ああ 楽しくやろう 365日
(以下、省略)
人生は紙飛行機 飛んで行け! 飛んでみよう!
「(私は思う。だから私は存在する)」 ※( )内は授業担当者
自分が今存在していることについて、考えることがある。そして、その時に人間には理性があると改めて
気がつく。
授業担当者からのコメント:なるほど、「気がつく」ということは、誰か他の人から与えられるのではなくて、
自分の中にあるということですね。デカルトの言う良識(よい理性)は、全ての
人間が生まれながらにして公平に、自分の中に持っているものなのですね。たとえ
それが、神様から与えられたものだとしても、自分で気づいて、それを発揮させれば
いいのですね。
11月18日(水) 3C倫理
「疑う」
僕は、デカルトのように自分が本当に存在しているのかを疑った事はない。でも、自分の存在を証明するために、
これからの人生で世の中に何かを残したい。
授業担当者のコメント:「自分の存在を証明する」「世の中に何かを残す」…すごく格好いいです! あなたの
持ち味が十分に発揮された、とても素敵な「ウルトラ80」ですね! さて、私の授業は
「私の存在証明」になっているでしょうか? 私は、高校教師として「世の中に何かを
残せて」いるでしょうか? そんな事を考えさせてもらいました。
「情念と高邁(こうまい)の精神」
情念を抑えることで、人は正しい道を進むことができる。だから、どんなことがあっても高邁の精神でいたい。
授業担当者のコメント:情念に負けてしまうと、チームプレーができなくなることがあります。「キャリハ」
(3年生のキャリア・リハーサル探究活動)の時間に、ずっとふざけている生徒がその
典型だと思います。ごく一部の生徒ですが、残念に思います。そんなあなた達は、
アスリートとして部活動や大会で、情念に勝ったり負けたりすることを経験したので
しょう。情念に負けてしまうということは、対戦相手に負ける以前に自分自身(情念に
流されやすい弱さ)に負けているということなのでしょうね。
「(プラグマティズムとアニメの台詞)」 ※( )内は、授業担当者
プラグマティズム(という哲学の名前)が、よくアニメで聴く言葉だと思った。そしてそれは、「やらずに後悔
するより、やって後悔した方が100倍ましだ!」(である。)
授業担当者のコメント:もしかして「ワンピース」とか…? 登場人物(気のいい海賊たち)が、いかにも言い
そうな台詞(セリフ)ですね。あなたは、行動主義のプラグマティズムという哲学を、
具体的に理解できていると思います。
2019(H31→R元)年度
12月9日(月) 3K倫理
「プラグマティズム」 ※( )内は授業担当者
私はプラグマティズムの考え方が好きだ。なぜなら、何か(善や美の真理とか)を難しく考えるよりも、行動に移す
(行動してみる)ことの方が効率的(効果があるかどうかやうまくいくかどうかがすぐに分かる)だと思ったからだし、
考え方が単純(シンプル)で分かりやすいと思った。
授業担当者からのコメント:理性を経験よりも重視する合理論(フランスやドイツらしさ)よりも、経験
や行動を理性以上に大事にする経験論(イギリスらしさ)やプラグマティズム
(行動主義)(アメリカらしさ)の方が、あなたの人生観や価値観に近いの
ですね。私はどちらかというと、合理論(ていうか合理論と経験論のそれぞれ
の「いいとこ取り」したカントの哲学)がしっくりきます。ロマンティック
過ぎるかな…と、自省もするのですが。
「デューイ」 ※( )内は授業担当者
デューイが考えた、「知識は試行錯誤を通して改良されるという道具主義」が印象に残った。(よって)このことから、
ただ学校で学ぶだけじゃなくて、頭に入れて(学んだことを道具として使えるようにして)おくことが大切だと分かった。
授業担当者からのコメント:哲学者のデューイは、実は教育学者でもあるんですよ。「教育とは、試行錯誤
を通して自ら成長していく子どもたちを、大人が支えて応援して励ますこと」
という考え方を大切にし、それを実践した人なのです。私も、そんな先生(大人)
になりたいと思っています。
12月13日(金) 3I倫理
「デカルトの考え方」 ※( )内は授業担当者
これまでの(授業)の、神が関係する考え方よりも、すごく現実的で、(私の思う)哲学らしい考えだと思った。(そして、)
何に対しても(疑うとか自分の頭で)考えることによって、物事(や事物)の一つひとつの理解が深まる(原理や原則を
それらに当てはめてみることによって、それらを深く理解する<=演繹法>)ことはいいことだと思った。
授業担当者からのコメント:「神が関係する考え方」とは、パスカルやカントの思想のことでしょうか。
しかし、宮崎駿監督のジブリ作品や世界的に大ヒットした新海誠監督の「君
の名は。」「天気の子」などで描かれる世界には、宗教的な要素が多く取り
入れられていますね。環境問題や平和・人権の問題を改善・解決するには、
「神」が関係する哲学が必要なのかもしれません。
「プラグマティズム」 ※( )内は授業担当者
今回の授業でプラグマティズムという哲学が出てきて、私はとてもその考え(知識とは、試行錯誤を通して改良される
という道具である)に共感できた。なぜなら、「道具は使い方次第」という言葉や「全ては道具」という考え方は、これに
当てはまると思ったからである。
授業担当者からのコメント:「弘法筆を選ばず」ということわざがありますが、弘法大師(空海)は、「腕前
だけでなく、道具(筆)も大事」と言っているそうです。楽器がそうですよね。
「道具主義」 ※( )内は授業担当者
この考え方(知識とは、試行錯誤を通して改良されるという道具である)には賛成ですが、道具という言葉に違和感を持ち
ました。なぜなら、僕が道具という言葉が嫌いだからですし、考え方(哲学や宗教といった思想など)を物としてしか扱って
いないようで嫌いです。
授業担当者からのコメント:なるほど。何かに喩えること(比喩)のマイナス面ですね。プラス面は、具体的で
分かりやすくなることなのですが。確かに道具には、「たかが道具」のようなニュ
アンスが感じられますね。実は、3学期の授業でフランクフルト学派の哲学が出て
きます。そこでは「道具としての理性」がファシズム(ナチス=ドイツや独裁者
ヒトラーの政治体制)を生み出した原因として、道具という言葉(比喩)が否定的に
使われています。これは授業の先取りですね。素晴らしい感性です!