授業№32 モラリスト(モンテーニュ・パスカル)

T.Q.「モンテーニュとパスカル、それぞれのヒューマニズムに対する疑いとは?」

T.A.
「私は何を知る?(ク=セ=ジュ?)」という言葉を残したモンテーニュは理性を不完全なものとし、
真理を求め続ける積極的な懐疑主義の姿勢をとった。また、パスカルは「幾何学的精神=理性
の論理」と「繊細の精神=心情の論理」を区別して、その両立の大切さを唱えた。

2022(R4)年度

11月18日(金)

「悲惨」 

「人間は考える葦である」、この言葉をずっと忘れないようにしたい。なぜなら、「人間は考えることができるが弱くて死ぬ。その死ぬ
ということも人間は理解しているから。だから悲惨だ」。何か心にグッとくるものがありました。

授業担当者からのコメント:私も同感です。「人間は偉大だ」だけだと、ピコのように「人間は自由意志があるから何にでも、神にでも
  なれる」の理性万能主義になっちゃいますからね。「人間は悲惨だ」もセットにすることで、パスカルの
 「繊細な精神」(他者に共感し思いやる心情)が働くのだと思います。人間以外の生き物への共感や思いやりは、
 地球環境問題にも当てはまりますからね。

「(動物の方が悲惨)」 ※( )内は授業担当者

「弱くて死ぬ」、この言葉で思ったことは、「人間は自分がいつ死ぬのかだいたい分かっている。でもそのことからくる人間の悲惨さは、
私は感じない。逆に動物は自分がいつ死ぬのか分からないからこそ、死はいつも一緒にいると考えてしまう。だから私は、動物の方が悲惨
だと思う。

授業担当者のコメント:まず大前提として、「人間も人間以外の生き物も弱くて悲惨」ですよね。次に「人間と人間以外の生き物は、
どちらが悲惨か」につ
いて考えてみると、「人間には人間以外の生き物には備わっていない理性があるから、
人間以外の生き物より悲惨」とパスカルは言
っています。理性の大事な働きの一つは過去や未来のことを考え
ることができるということで、 人間以外の動物は今、この瞬間に集中して生きています。私は時々、人間以外の
生き物がうらやま
しくなる事あります。それは例えばワンちゃんやネコちゃんが、天真爛漫でどんなことにも
手抜きをせず一所懸命な姿を見せてく
れる時です。自分がいつか死んでしまうことを知らないからこそ、完全に
「今だけを生きる」ことができるのではないでしょうか。

2021(R3)年度

1月11日(火) 3I倫理

「今日の授業(モンテーニュとパスカル)」 ※( )内は授業担当者

「頭と心」という考え方(で整理したの)で、とてもわかりやすかった。また、幾何学の精神(理性を働かせるなど「頭」的な精神)と
繊細な精神(直感を働かせるなど「心」的な精神)の話になって、(それら)2つの考え方(の両方)を持った方がいいと思いました。

授業担当者からのコメント:なるほど、「鋭く考えるのが頭(理性)」で、「深く思うのが胸(心情)」なのかもしれませんね。私もあなたと
  同じ様に、その両方を大切にしたいです。去年の3年生で、次のように書いてくれた生徒がいました。紹介します。
  「私はテレビで事件のニュースを観たりすると、『本当にこの人は悪いのか? 放送されていないだけで、何か
  事情があったのではないか?』と考えたりします。だから、パスカルが主張した『繊細な精神』と一緒だなと思い
  ました」。これは、理性以上に心が大切な場合があることを強調していますね。

「パスカル」  ( )内は授業担当者

僕も妹がいるので、(パスカルと妹のことが)とても興味深くて、パスカルのことを調べてみようと思いました。そして、「兄(妹がいる男性)
は優しい」とよく聞くけど、みんながそうなのか気になりました。

授業担当者のコメント:妹(がいること)つながりで、パスカルへの興味が高まった! あなたと同じで、私もそうでした。そして『パスカルと
           その妹』と
いう本まで買って読んでしましました(笑)。ちなみにパスカルの妹さんの名前は、ジャクリーヌといいます。

1月19日(水) 3K倫理

「パスカル」 

数学者としても成功しているけど、違う道(哲学者や宗教家の道)に進んだ。でも、そこに人間らしさを感じて、「『昔の大谷翔平』として活動
していたのでは?」と思った。

授業担当者のコメント:「昔の大谷翔平」とは、目標達成シートのマンダラ(曼荼羅)チャートに将来の目標と具体的な手段を書いて頑張っていた
高校生の
頃のことですね。彼は目標に「8球団からのドラフト1位指名」と書き、それを達成するための8つの要素の中に
「人間性」と書
いています。そして、その人間性を高めるための8つの要素の中に「思いやり」と書いています。これが
パスカルの「繊細な精神」
=心情中心で直感的な精神に結びつくので、大谷翔平選手は、心も鍛えてきたのですね。

「イエス=キリスト」 ( )内は授業担当者

この授業(倫理の授業)では、ただ先生(向出)が気持ちよく喋っているだけ。(でも、)授業は(先生が)生徒に教える
ものだ。(つまり、)
先生は、教えようとしているのではなく、ただ1人で楽しんでいるだけ。

授業担当者のコメント:「1年学年通信12・1月号」に掲載した私の文章を紹介します。

  進路ガイダンスの「進路講演会」で講師の方が、「『この授業イヤだなあ』と思って授業を受けていると、何も身につかない。
なぜ
なら、ストレス情報とセットになっていると、脳は覚えようとしないから」という話をされていました。これは授業や
部活に限ら
ず、社会に出て働く場面でも大切なポイントではないでしょうか。なぜなら、「『この仕事イヤだなあ』と思って
仕事をしていると、
よい仕事ができない」ということがあると思うからです。つまり、私が授業で楽しそうにしているのは、
「この仕事楽しいなあ」と思
って仕事をしているからです。「天職」ですから。

「愛について」 ※( )内は授業担当者

私が今日の授業で分かったことは、パスカルの一生の最後に出てくる「宗教=愛」です。(さて、)今は高齢者の人が車で事故を起こすことが増えて
いるのに、免許を返納する人は
少ないようですが、車がないと移動できないのに免許を返納するのは愛なのでしょうか?

授業担当者のコメント:教科書にも「パスカルは、貧しい姿で地上にあらわれ、みずからを犠牲にして人びとを救ったイエス=キリストの愛にならい、
がて滅び去るものの世界をこえて、神の永遠の愛の秩序にしたがって生きることに、心のやすらぎを求めた」と書いてある
ように、
「移動手段としての車が運転できなくなるという犠牲を払ってでも、事故を起こして人を傷つけたり、死なせたり
しないようにす
る」という考え方は、間違いなく愛だと思います。

2020(R2)年度

11月4日(水) 3C倫理

「モンテーニュ」 ※( )内は、授業担当者

モンテーニュの偏見や独断を否定する考えは、今のアメリカにものすごく大切なことだと
思いました。しかし、まだ人種差別にもとづく事件が起きているので、そういう(事件を
起こす人に、モンテーニュの思想を)学んで欲しい。

授業担当者からのコメント:今日、アメリカ大統領選挙の結果が明らかになりますね。私
                   は今のトランプ大統領や、彼を支持する人達にモンテーニュ
             の思想を学んで欲しいと思います。

「(パスカルの広い心)」 ※( )内は、授業担当者

知らない人がミスするのを見ると、自然と「この人はミスをする人」となってしまう。だけど
たまたま(ミスしているだけ)かもしれないし、広い心を持って、いろいろ(な事情や要素に
ついて)考えられるようにしたい。

授業担当者からのコメント:なるほど、柿を盗んだAくんにどう接するべきかについて、あなたは
 「広い心=パスカルの繊細な精神」が大切だと考えているということ
 ですね。それは、モンテーニュの言う「寛(ひろ)い心=寛容の精神」
 に通じますね。2人のモラリストの共通点ですね。知らない人を知ら
 ないままにしておいて「この人はミスをする人」と決めつけるより、
 「本当はどんな人なんだろう」とその人を知ることによって、初めて
 どんな接し方がいいのか分かるのかも知れませんね。私(MT)と
 誰かさん達(本校の生徒)のように。

11月4日(水) 3K倫理

「理解」 

今日の授業で僕が思ったことは、人は自分が弱いことを知ってしまっているということは、よい
特性だということです。(つまり、それ)だからこその一人ひとりの物語があるし、楽しさもある
と思います。

授業担当者からのコメント:うーん、これは深い「ウルトラ80」です。強さというもの
                   は個人差が小さいようですが、弱さというものは個人差が大
                   きいような気がします。「それだからことの物語」ですか。弱
                   さにその人らしさが出ているのかもしれないですね。その自
                   分ならではの弱さを受け止めて、しっかり理解してくれる人
             (理解しようとしてくれる人)が人生をともに生きる理想の

                   パートナーかもしれませんね。

「私は決して教えない。ただ物語るだけである」 

とても奥深く、思い言葉だと思った。また、この言葉からモンテーニュの生き方が分かるし、どれだけ
寛容の精神を重視しているか感じることができた。

授業担当者からのコメント:「きれいごと」かもしれませんが、それが「生徒と先生のコラ
                   ボレーション」になっている理想の授業だと思います。これ
                   からも生徒の反発や他の先生達の無理解にぶち当たって、落
                   ち込んだり悔しい思いをし続けるのでしょうが、「学校の神
                   様」や「授業の神様」みたいな存在を信じて、私は「神様を
                   がっかりさせないように」頑張ろうと思います。

2019(H31→R元)年度

11月18日(月) 3K倫理

「繊細な精神」 ※( )内は授業担当者

私はテレビで事件のニュースを観たりすると、「本当にこの人は悪いのか? 放送されていないだけで、何か事情が
あったのではないか?」と考えたりします。だから、(パスカルが「大事だよ」と主張した)「繊細な精神」と一緒だなと
思いました。

授業担当者からのコメント:あなたは、とても優しい人ですね。パスカルのように。

「偏見」

福祉の授業を受けてから、自分は偏見という言葉や偏見の目で周りを見る人が大嫌いになりました。でも、今これを
書いていて思ったのですが、偏見の目を向けた人を嫌な目で見るというのも偏見なのではないでしょうか。

授業担当者からのコメント:あなたのように、物事を多面的・多角的に見て、考えることのできる人こそ、モンテーニュの
                 「寛容の精神」やパスカルの「繊細な精神」が豊かな人だと思います。

「人間の悲惨さ」

私は、人間が弱くて死ぬことを知っているのは悲惨ではないと思いました。なぜなら、死ぬことを知っているからこそ、
人生の使い方や人生で成し遂げたいことを考えられると思うからです。

授業担当者からのコメント:素晴らしい! このような鋭くて建設的な批判を、誰よりも当のパスカルさんがよろこぶでしょう。
                 あと、この考え方は、別の授業(実存主義哲学のハイデッガーの思想「死への存在」)で登場し
                 ます! 先取り!?


11月19日(火) 3I倫理

「考える精神」 

人を理性中心ではなく、心情中心で見ようと思った。なぜなら、人のことを深く考えられれば、今とは違った一面を見ることが
できるのかなと思ったから。

授業担当者からのコメント:「鋭く考えるのが頭(理性)」なら、「深く思うのが胸(心情)」なのかもしれませんね。両方、大事に
                 したいですね。


「人間」

理性と本能を持ち合わせているからこそ、人間は人間なのだと思った。なぜなら、どちらか一方にかたよってしまうと、それ
はもう人間ではなくなってしまうと思うからだ。

授業担当者からのコメント:これも、中庸や中道の大切さですね。