授業№29・30① 日本発の近代哲学(西田幾多郎・和辻哲郎)・戦後思想(丸山真男・小林秀雄)

T.Q.「幾多郎と哲郎の哲学の日本的なユニークさとは?」

T.A.
幾多郎は東洋的禅の体験に基づく、「客観的個物と主観的我」・「精神と物質」の対立を越えた所に具
体的な生や真理をみた。一方、哲郎は『人間の学としての倫理学』の中で、西洋の個人主義と日本の共
同体的心情を統合し、「人間は間柄的存在である」とした。

T.Q.「丸山真男と小林秀雄の政治的スタンスの違いとは?」

T.A.
丸山は日本的ファシズムを批判して西洋的近代化の徹底を説き、日本人が持つ思想のある意味での
危険性を指摘した。小林は西洋文化の研究を通して日本文化を再評価しようとし、政治的には戦争を
肯定する立場であった。

2022(R4)年度

11月4日(金) 

「和辻」

和辻さんの考え方には、私も納得した。だから、先生との良い間柄をきずけば、部活の成績が伸びるかもしれない。

授業担当者のコメント:和辻哲郎の哲学の内容を、身近な部活に結びつけて説明してくれてありがとうございます。あと和辻さんは、
           「西洋と東洋のそれぞ
れのよさ(他者を尊重し自立した個人主義とチーム意識を重視した共同体的心情)」を
           統合(いいとこ取り)していますね。日本っ
てもちろん東洋の国の1つですが、「真っ先に・徹底的に」西洋化
               した国なので、「西と東のいいとこ取り」が得意なのかもしれませんね。

「(間柄的関係)」 ( )内は授業担当者

私はaさん(先生の「テキトーにやってろ!」に対して「はい」とあきらめる生徒)・bさん(同じく「バカヤロー!」と怒る生徒)
・cさん(同じく「こうしてみませんか」と提案する生徒)のどれにもなれましたが、dさん(a~cさん以外)=「(先生の言葉や
態度が)理解できていない」タイプです。(でも、)良い先生もダメ先生も、(どちらにも)学べる事があるから、どんな事が起きても
めげないで生きていきたい。

授業担当者のコメント:この「ウルトラ80」は、正直に自分自身を見つめて書かれているところが素晴らしいです。そして、
先生には「正面教師」(人とし
てお手本になる先生)「反面教師」(逆に人として悪い見本になる先生)の
2つのタイプが存在することや、「タフな生徒」はその2
つのタイプのどちらからも学んで、自分を成長させる
ことができるということが分かりやすく書かれていると思います。

2021(R3)年度

11月9日(火) 3I倫理 

「哲学の違い」 
( )内は授業担当

西田さんの哲学はとても難しいことが多く、『善の研究』(の中)で西洋と東洋の(考え方のそれぞれの)よさ(西洋は鋭い知性、
東洋は深い信仰心)を統合している。しかし、和辻さんの哲学はとても分かりやすく、人間を「じんかん」と読むこと(によって、
「人間は他者と倫理的な関係を結ぶことで、善人や幸福になれる間柄的存在」であること)に驚いた。

授業担当者のコメント:西田幾多郎と和辻哲郎、両者の哲学の内容をうまく整理してくれてありがとうございます。和辻さんの哲学は、
           私が少し補足しま
した。あと和辻さんも、「西洋と東洋のそれぞれのよさ(他者を尊重し自立した個人主義と
           チーム意識を重視した共同体的心情)」を
統合(いいとこ取り)していますね。日本ってもちろん東洋の国
           1つですが「真っ先に・徹底的に」西洋化した国なので、「西と東のいいとこ取り」が得意なのかもしれませ
           んね。

「風土」 ( )内は授業担当者

国によってそれぞれの国民性があることを知って、「確かに」と思いました。(そして、このことから)「国際カップル(国際結婚)
はすごいな」と思いました。

授業担当者のコメント:あ、この「ウルトラ80」は楽しい! それに「いいとこ取り」の話とつながっている! 混血の人のことを
昔は「ハーフ(半分)」
と呼んでいたのが、今は「ダブル(2つ分)」と呼ぶことが多いという「ちょっと
いい話」を思い出しました。

11月17日(水) 3K倫理

「意見を磨く」

一般論がいつでも正しいのではなく、自分の意見を持つことが何より大切だと私も思います。でも、人の意見を聴き入れる力を持つのも
大切だと改めて認識しました。

授業担当者からのコメント:あなたが書いている「一般論」とは、理性を重視する西洋の知性(メスのように鋭く分析)や個人主義
             (メンバー一人ひとりを重視)のことでしょうか。そして、「自分の意見」とは、東洋の信仰心(深く
             豊かに感じる心情)や集団主義(チーム全体を重視)のことでしょうか。また、「(自分と違う)人の
             意見を聴き入れる力も大切」というのは、西洋の考え方のプラス面と東洋の考え方のプラス面の「いい
             とこ取り」ができるということでしょうか。もしそうならば、私もあなたと同じ考えを持ちます。

~番外編~

「(先生がおかしい)」

自分の思っていることが正解だと思っている先生がおかしい。

授業担当者のコメント:私は高校生の頃、「自分の感じ方や考え・意見を言わない先生」が好きではなかったです。教科書を読めば分かる
           ことを話しているだけの先生は嫌いでした。だから私は、自分がどう感じるか、どう考えるかを伝えることで、
           「さて、あなたならどう感じますか? どう考えますか?」と生徒一人ひとりに問い掛け、それを「ウルトラ80
           に書いてもらう授業を頑張っているつもりです。そして私は、自分の思っていることが正解だとは思っていませんよ。
           それに倫理の問いには、全ての人に当てはまる「正解」は無いと思っています。多くの人が納得できる「納得解」や、
           ケースバイケースや個々人にとっての正解に近い「最適解」があるだけだと思います。いつでも、「無知の知」が
           出発点です。

2020(R2)年度

10月12日(月) 3K倫理

「(大人との間柄において成長)」 ( )内は授業担当者

倫理の授業を受けるようになって、自分から立場が上の人に提案できるようになった気がする。だからそのような人が増えると、もっと活気溢れる
社会になると思った。

授業担当者からのコメント:さすがです。「 Go To 学校祭」です。活気溢れる寺井高校にしていきましょう! あなたは私の、同志の一人です。

「間柄」 ( )内は授業担当者

中学の時、ダメ先生がいたけど、私はaさんみたいに従っているだけだった。(でも)あの時、cさんみたいに(何か提案)していれば、もっといい
授業になっていたんじゃないかと思った。

授業担当者からのコメント:ダメ先生が本当にダメ人間なら、提案しても無視するでしょうね。でも私は、「人間を信じ、胸にうるおいあれ」(寺井
  高校3つのモットーの3つ目)の考えで生きているので、その先生が反省して、いい先生=いい人間に変わってくれること
  に期待したいです。貴重な経験について、「ウルトラ80」に書いてくれて、ありがとうございます。

10月14日(水) 3C倫理

「(外国から見た日本)」 ( )内は授業担当者

外国から見たら日本人は、すごく優しいという話を聞いたことがある。だがそれは、風土の違いからきているのだと分かり、(様々な国の人に)それ
ぞれ良いところ(長所)と悪いところ(短所)があるので、みんな違って、みんな良いと思った。

授業担当者からのコメント:なるほど、「いいとこ取り」の良さですね。それぞれの長所を集めると「最強さん」になれるということですね。あと
  最後のフレーズは、詩人の金子みすゞ(みすず)さんの「鈴と、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。」
  の引用ですね。私も大好きな詩です。寺井高校は総合学科なので、様々な進路志望の生徒がチームを作っています。「みんな
  ちがって、みんないい」のが、本校の持ち味なのですね。

「間柄」 ( )内は授業担当者 

西洋の国の人々は自分を主張できるが、日本人など(モンスーン型の風土に暮らす人々)は(自分の意見などを)言わないで我慢する傾向があると
思った。(そして、)皆が我慢しているのが普通だと思うことが、その場(授業や部活。学校など)を悪くすることが分かった。

授業担当者からのコメント:あなたは和辻哲郎の哲学を、見事にまとめていますね。前半は「風土と国民性・民族性の関係」について、後半は「間柄
                   的存在」について上手に整理できています。和辻さん、きっと喜んでいますよ。あの笑顔で。

2019(H31→R元)年度

10月30日(水) 3K倫理

「人間の学としての倫理学」 ※( )内は授業担当者

「どうせ無理」「やるだけ無駄」という言葉を耳にすることが多いし、実際、自分が言われることがある。でも、(目標の達成が)無理だとしても、努力すること(それ自体)
に挑戦することに意味があるし、その精神が大事だと思った。

授業担当者からのコメント:人間は間柄的な存在なので、誰かとよい間柄=人間関係や絆をつくっていくことにより、私たち一人ひとりはもっと幸せに生きられるし、この
                世の中ももっとよくなるのではないでしょうか。「『どうせ無理』という言葉は、『滅びの言葉』です。先生なら『こうしてみませんか?』と、生徒に
                提案してみましょう」(昨年度まで本校の校長だった上杉先生の言葉)。


11月1日(金) 3I倫理

「女性解放運動」 ※( )内は授業担当者
 
女性の権利を主張するのは良かったと思う。なぜなら、昔は今よりも女性の立場が厳しかったからである。しかし、今は男性より女性を尊重し過ぎて、少し生きづらく
なっていると思う。

授業担当者からのコメント:後半についてですが、このこと(女性を尊重し過ぎ)で男性だけでなく、女性も生きづらさを感じているのでは? そして、「全然、尊重されて
                 ないよ!」と思う女性も多いのでは?


「(諦めと成長)」 ※( )内は授業担当者

私はよく「マイナスの諦め」をしてしまいます。だから、「プラスの諦め」ができる人になって、(あきらめずにあきらめて)自分自身を成長させたいなと思いました。

授業担当者からのコメント:「あきらめる」とは「明らめる」という意味があって、これが「プラスの諦め」のことですね。英語で言えば、メイク・クリヤー。ちなみに「マイナス
                 の諦め」は、ギブ・アップ。


「自己本位」

自分は人のまねをしてしまいがちである。だから、人のまねをせず、自分らしく生きていきたいと思いました。今日の授業を受けて。

授業担当者からのコメント:良い意味での「自分ファースト」ですね。アイデンティティの確立や、自己実現の大切さにも通じますね。

「則天去私」 ※( )内は授業担当者

「ちっぽけな自我を越えた、大いなるもの(に即して生きる)」。この言葉にグッときました。(なぜならば、)本当の自分を出している感じで、カッコいいと思ったからです。

授業担当者からのコメント:「修善寺(しゅぜんじ)の大患(たいかん)」による臨死体験が、このような思想を夏目漱石に生み出させたのでしょう。

11月12日(火) 3I倫理

「(東洋と西洋それぞれの考え)」 ※( )内は授業担当者

東洋的な「美しいものは、美しいから美しいのであって、理由を求めるものではない」という考えは、本当にその通りだと思った。しかし、「なぜ?」を求める西洋的な考え
も、悪いものではないと思った。

授業担当者からのコメント:理由や理論を追究する西洋的な考えが、世の中を便利で快適(物質的に豊か)にしたことは否定できないですからね。でも、それで犠牲にし
                 た心の大切さ(精神的な豊かさ)については…MOTTAI NAI(もったいない)と思います。


「日本の考え」 ※( )内は授業担当者

今日の授業で自分は、日本食(和食)にも小林秀雄などの伝統的な思想(伝統を重視する思想で、「美しい花がある。花の美しさというものはない」など)がつながってい
ると思いました。なぜならそれは、日本料理ほど素材の味を生かす食文化はないと思うからです。分析せずに食べることで、食材そのものの味を楽しむということになり、
それが今の日本食(和食)につながっているのかなと思いました。

授業担当者からのコメント:すごい! この見方・考え方を、山中出身の「料理の鉄人」道場六三郎さんに紹介したいと思いました。チャンスがあれば、そうします。マジで。

「なんでもいい」

僕は、自分や友達、そして他人が幸せになりゃいいと思っとる。だから、哲学のことで幸せになるならそれでいいし、そんなんしなくても自分で探せばいいと思うから、なん
でもいいと思った。

授業担当者からのコメント:これもすごい意見です! 「反哲学」という哲学もあるのです。それも哲学のすごさだと、「全力で」思います。