授業№29・30① 日本発の近代哲学(西田幾多郎・和辻哲郎)・戦後思想(丸山真男・小林秀雄)、ルネサンス
T.Q.「幾多郎と哲郎の哲学の日本的なユニークさとは?」
T.A.
幾多郎は東洋的禅の体験に基づく、「客観的個物と主観的我」・「精神と物質」の対立を越えた所に具
体的な生や真理をみた。一方、哲郎は『人間の学としての倫理学』の中で、西洋の個人主義と日本の共
同体的心情を統合し、「人間は間柄的存在である」とした。
T.Q.「丸山真男と小林秀雄の政治的スタンスの違いとは?」
T.A.
丸山は日本的ファシズムを批判して西洋的近代化の徹底を説き、日本人が持つ思想のある意味での
危険性を指摘した。小林は西洋文化の研究を通して日本文化を再評価しようとし、政治的には戦争を
肯定する立場であった。
2020(R2)年度
10月12日(月) 3K倫理
「(大人との間柄において成長)」 ※( )内は授業担当者
倫理の授業を受けるようになって、自分から立場が上の人に提案できるようになった気がする。だからそのような人が増えると、もっと活気溢れる
社会になると思った。
授業担当者からのコメント:さすがです。「 Go To 学校祭」です。活気溢れる寺井高校に
「間柄」 ※( )内は授業担当者
中学の時、ダメ先生がいたけど、私はaさんみたいに従っているだけだった。(でも)あの時、cさんみたいに(何か提案)していれば、もっといい
授業になっていたんじゃないかと思った。
授業担当者からのコメント:ダメ先生が本当にダメ人間なら、提案しても無視するでしょうね。でも私は、「人間を信じ、胸にうるおいあれ」(寺井
高校3つのモットーの3つ目)の考えで生きているので、その先生が反省して、いい先生=いい人間に変わってくれること
に期待したいです。貴重な経験について、「ウルトラ80」に書いてくれて、ありがとうございます。
10月14日(水) 3C倫理
「(外国から見た日本)」 ※( )内は授業担当者
外国から見たら日本人は、すごく優しいという話を聞いたことがある。だがそれは、風土の違いからきているのだと分かり、(様々な国の人に)それ
ぞれ良いところ(長所)と悪いところ(短所)があるので、みんな違って、みんな良いと思った。
授業担当者からのコメント:なるほど、「いいとこ取り」の良さですね。それぞれの長所を集めると「最強さん」になれるということですね。あと
最後のフレーズは、詩人の金子みすゞ(みすず)さんの「鈴と、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。」
の引用ですね。私も大好きな詩です。寺井高校は総合学科なので、様々な進路志望の生徒がチームを作っています。「みんな
ちがって、みんないい」のが、本校の持ち味なのですね。
「間柄」 ※( )内は授業担当者
西洋の国の人々は自分を主張できるが、日本人など(モンスーン型の風土に暮らす人々)は(自分の意見などを)言わないで我慢する傾向があると
思った。(そして、)皆が我慢しているのが普通だと思うことが、その場(授業や部活。学校など)を悪くすることが分かった。
授業担当者からのコメント:あなたは和辻哲郎の哲学を、見事にまとめていますね。前半は「風土と国民性・民族性の関係」について、後半は「間柄
的存在」について上手に整理できています。和辻さん、きっと喜んでいますよ。あの笑顔で。
2019(H31→R元)年度
10月30日(水) 3K倫理
「人間の学としての倫理学」 ※( )内は授業担当者
「どうせ無理」「やるだけ無駄」という言葉を耳にすることが多いし、実際、自分が言われることがある。でも、(目標の達成が)無理だとしても、努力すること(それ自体)
に挑戦することに意味があるし、その精神が大事だと思った。
授業担当者からのコメント:人間は間柄的な存在なので、誰かとよい間柄=人間関係や絆をつくっていくことにより、私たち一人ひとりはもっと幸せに生きられるし、この
世の中ももっとよくなるのではないでしょうか。「『どうせ無理』という言葉は、『滅びの言葉』です。先生なら『こうしてみませんか?』と、生徒に
提案してみましょう」(昨年度まで本校の校長だった上杉先生の言葉)。
11月1日(金) 3I倫理
「女性解放運動」 ※( )内は授業担当者
女性の権利を主張するのは良かったと思う。なぜなら、昔は今よりも女性の立場が厳しかったからである。しかし、今は男性より女性を尊重し過ぎて、少し生きづらく
なっていると思う。
授業担当者からのコメント:後半についてですが、このこと(女性を尊重し過ぎ)で男性だけでなく、女性も生きづらさを感じているのでは? そして、「全然、尊重されて
ないよ!」と思う女性も多いのでは?
「(諦めと成長)」 ※( )内は授業担当者
私はよく「マイナスの諦め」をしてしまいます。だから、「プラスの諦め」ができる人になって、(あきらめずにあきらめて)自分自身を成長させたいなと思いました。
授業担当者からのコメント:「あきらめる」とは「明らめる」という意味があって、これが「プラスの諦め」のことですね。英語で言えば、メイク・クリヤー。ちなみに「マイナス
の諦め」は、ギブ・アップ。
「自己本位」
自分は人のまねをしてしまいがちである。だから、人のまねをせず、自分らしく生きていきたいと思いました。今日の授業を受けて。
授業担当者からのコメント:良い意味での「自分ファースト」ですね。アイデンティティの確立や、自己実現の大切さにも通じますね。
「則天去私」 ※( )内は授業担当者
「ちっぽけな自我を越えた、大いなるもの(に即して生きる)」。この言葉にグッときました。(なぜならば、)本当の自分を出している感じで、カッコいいと思ったからです。
授業担当者からのコメント:「修善寺(しゅぜんじ)の大患(たいかん)」による臨死体験が、このような思想を夏目漱石に生み出させたのでしょう。
11月12日(火) 3I倫理
「(東洋と西洋それぞれの考え)」 ※( )内は授業担当者
東洋的な「美しいものは、美しいから美しいのであって、理由を求めるものではない」という考えは、本当にその通りだと思った。しかし、「なぜ?」を求める西洋的な考え
も、悪いものではないと思った。
授業担当者からのコメント:理由や理論を追究する西洋的な考えが、世の中を便利で快適(物質的に豊か)にしたことは否定できないですからね。でも、それで犠牲にし
た心の大切さ(精神的な豊かさ)については…MOTTAI NAI(もったいない)と思います。
「日本の考え」 ※( )内は授業担当者
今日の授業で自分は、日本食(和食)にも小林秀雄などの伝統的な思想(伝統を重視する思想で、「美しい花がある。花の美しさというものはない」など)がつながってい
ると思いました。なぜならそれは、日本料理ほど素材の味を生かす食文化はないと思うからです。分析せずに食べることで、食材そのものの味を楽しむということになり、
それが今の日本食(和食)につながっているのかなと思いました。
授業担当者からのコメント:すごい! この見方・考え方を、山中出身の「料理の鉄人」道場六三郎さんに紹介したいと思いました。チャンスがあれば、そうします。マジで。
「なんでもいい」
僕は、自分や友達、そして他人が幸せになりゃいいと思っとる。だから、哲学のことで幸せになるならそれでいいし、そんなんしなくても自分で探せばいいと思うから、なん
でもいいと思った。
授業担当者からのコメント:これもすごい意見です! 「反哲学」という哲学もあるのです。それも哲学のすごさだと、「全力で」思います。