授業№27・28 革新思想(吉野作造・美濃部達吉)・近代的個人(夏目漱石・森鷗外)
T.Q.「作造の民本主義と達吉の天皇機関説の共通点とは?」
T.A.
作造は民主主義と区別して、日本の天皇制に即したデモクラシーとしての民本主義を唱えた。達吉は、日本
の統治権は国家にあるとし、天皇の存在はそのための手段とする天皇機関説を唱えた。両者の共通点は、
天皇を目的ではなくて手段であり、民衆を中心とする国家を理想としている点にある。
T.Q.「漱石と鷗外の共通点と相違点とは?」
T.A.
夏目漱石と森鷗外は、ともに海外留学を経験したが、漱石は在野の人となり、外的な文明開化を批判して、
日本人の自分としての主体性を確立するという意味での「自己本位」や個人主義を主張した。それに対して
鷗外は、政府(陸軍)の高官として体制側に立ちつつ、東洋と西洋の両文明をふまえた「二本足の学者」として
活躍した。両者の目指すところは、近代的自我を打ち立てることでは一致していた。
2022(R4)年度
10月28日(金)
「女性解放運動と新婦人協会」 ※( )内は授業担当者
女性への差別的考えについて歌った歌(デフテックの「クオリティ・オブ・ライフ」)が印象的でした。なぜなら、音楽は世界中の
人へ届くものだと思ったので、いろんな人たちに聴かれれば良いと思ったからです。
授業担当者のコメント:…なるほど。この歌には、そういう力がありますね。
「(自由と責任に挟まれた葛藤)」 ※( )内は授業担当者
人が葛藤するのはいつの時代も同じかなと思った。(そして、)自由と責任の選択は難しいと感じ、その当時の人達はなおさら難し
かったのだと強く感じた。
授業担当者のコメント:『舞姫』は、主人公(鷗外自身がモデル)がドイツで医学を勉強して日本に帰国する時に、ドイツで出逢い
お互いに深く愛し合ったエリスと生まれた子どもを捨てるという小説ですね。主人公の諦念(エリスと子ども
への愛を諦めて、日本の医学を発展させなければならない自分の立場や責任を重視したこと)のドラマは、
当時の日本の限界(個人プレーの自由に憧れても、チームプレーの責任がそれを許さない)に挑戦して挫折する
明治の日本人の苦悩を描いているのですね。
2021(R3)年度
11月2日(火) 3I倫理
「人の世に熱あれ 人間に光りあれ」
今の世の中はとても冷たいと思うし、また、コロナ禍により更に冷たくなった気がします。だからこそ、誰かを思いやる熱い
気持ちが必要だと思いました。
授業担当者のコメント:本人に全く責任の無いこと(歴史的な身分制度などを背景とした職業や居住地)で差別されてきた
「部落の人達」の悲しさやつらさに共感し、応援できる人間でありたいですね。
「個人戦じゃなくて団体戦」 ※( )内は授業担当者
先生が言った「生きることは団体戦」という言葉が、確かにそうだなと思った。(また、)一人で頑張るのではなく、皆と協力
することが大事と改めて思った。
授業担当者のコメント:去年の実話です。私が自習監督の時間で、自分の席に戻ろうとしない3年生のI君と衝突。就職志望者で、
約2週間後の入社試験を控えたI君への「愛のある注意」は、「受験は団体戦。あなた
「そもそも人生が団体戦なのでは?」と問い掛けて、次のように黒板に書いた。Q.「人生は、個人戦でしょうか?
団体戦でしょうか?」 A.①「生まれる時も死ぬ時も一人なのだから、人生は個人戦」 A.②「家族がいて
(家族をつくって)、仲間や友達がいて(仲間や友達をつくって)、はじめて自分自身になれたり幸せや自由を
感じられるので、人生はどちらかというと団体戦かもしれない」。Iくんは黙って自分の席に戻りました。
11月8日(月) 3K倫理
「『舞姫』を読んだ認識の違い」 ※( )内は授業担当者
私は(森鷗外の小説)『舞姫』を読んだことがあって、「妻子を捨ててまで自分の仕事を優先するのは最低だ」と思っていました。でも、
向出先生の話を聴いて、その思いが少し改められました。
授業担当者のコメント:『舞姫』は、主人公(鷗外自身がモデル)がドイツで医学を勉強して日本に帰国する時に、ドイツで出逢いお互いに
深く愛し合ったエリスと生まれた子どもを捨てるという小説ですね。主人公の諦念(エリスと子どもへの愛を諦めて、
日本の医学を発展させなければならない自分の立場や責任を重視したこと)のドラマは、当時の日本の限界
(個人プレーの自由に憧れても、チームプレーの責任がそれを許さない)に挑戦して挫折する明治の日本人の苦悩を
描いているのですね。
「女」 ※( )内は授業担当者
昔は今よりもっと女性差別があって苦しんだ人が多かったんだと思った。(そして、授業で聴いた)歌がとても良くて、気持ちが何故か楽に
なった。
授業担当者のコメント:「気持ちが何故か楽になった」…なるほど。この歌には、そういう力がありますね。ではもう一度、Def Tech
(デフテック)「クオリティ・オブ・ライフ」の歌詞を読んでみてください。
今の今の今まで 女性は差別されてて
耐えて 堪(こら)え
我慢して
乗り越えてきた流れ
変える時が来たんだぜ 今顔を上げ立ち上がれ
腕高く掲げ 女であることに誇りを持て(※1)
到底叶わぬ夢だと思ってもがっちり握りしめゆけ
女という字は祈る姿 形からできた文字
もし願いが叶うならば 大きなことを求めて
この奴隷制から逃げて 見つけて
知らぬ未知の道を
形のないようなもの 目では決して見れはしないこと
音と言葉と心 結びつけるこの場所
あるフェミニスト(※2)が言った 2000年間ひっくり返す時が来たぜ
戦争好む男バカどもの 家庭守ったのもあなたのおかげ
だったら平和がやってくる 日々もそうそう遠くはないはずだ
全ての人とそれを願い祈る事が ここで今できたなら
※1 ここは、水平社宣言の「エタであることを誇り得る時が来たのだ」と重なりますね。
※2 フェミニスト…女性の権利を尊重し、女性に対する不平等の解消を唱える人。
2020(R2)年度
10月7日(水) 3K倫理
「今日の授業」 ※( )内は、授業担当者
今日の授業で私は、平塚らいてう(雷鳥)さんがとてもすごい人だと思いました。なぜなら、昔の憲法はとても厳しいのに、自分から積極的に差別を無く
そうとするのがすごいと思ったからです。
授業担当者のコメント:本当にそうですよね。勇気のある女性だと思います。あと、私が
歴史に名前を残さなかった「名も無き女性達」の頑張りへの感謝
「(エゴイズムも必要では?)」 ※( )内は、授業担当者
エゴイズム全てが悪いとは思わない。なぜなら、エゴイズムによって自分が決めると、強い気持ちで力を発揮することができるかもしれないから。
授業担当者のコメント:なるほど、物事にはプラス面とマイナス面の両方があるというこ
ーダーの役を引き受ける時などに、「自分がやらねば、誰がやる」
間キャシャーン」というアニメの「キャシャーンがやらねば、誰がやる」という決め台詞(せりふ)を思い出しました! ただ言
い換えるなら、エゴイズム「利己主義」というよりもセルフイズム「自己主義」が良いかも…。
10月9日(金) 3C倫理
「(つらい目にあうからやさしくなれる)」 ※( )内は、授業担当者
「つらい目にあうからやさしくなれる」という言葉が良いなと思った。なぜなら、鴎外や先生の知人(部落出身だということを私にカミングアウトしたK。
交際していた女性の両親が理解のある人達で、めでたく結婚)も、つらい思いをしたそのつらい思いを他の人にしてほしくないから、良い方向に進めるんだな
と思った。
授業担当者のコメント:ありがとうございます。こんなふうに思ってもらえると、Kのことを紹介した甲斐があります。あなたは、Kの立場で考えてくれ
ているのですね。本人に全く責任のないことで差別される人間のつらさが、怒りや憎しみでなく優しさや思いやりを育てることに、
私も感動しました。「自分はどうなんだ」、と反省しました。
「(個人主義の良さ)」 ※( )内は、授業担当者
日本(人)は個人主義を(基本)嫌いだけど、外国では普通ということを学んだ。だが私は、もう少し外国人みたいに自己表現(というより自己主張)し
てもいいんじゃないかなと思うときがあった。
授業担当者のコメント:どんな場面で「外国人みたいに自己主張してもいいのに」と思ったのか気になりますが、そういった何か「胸に刺さっている」よ
うな思い出が、あなたにはあるのですね。私にもあります。それは、「すごくいい生徒なのに、面接試験が苦手で合格できなかっ
た」という生徒(たくさん)の思い出です。やっぱり、訓練が大事だし、それより何より、日頃の生き方が大切なのでしょうね。
2019(H31→R元)年度
10月28日(月) 3K倫理
「人の世に熱あれ、人間に光あれ」
この言葉の意味を知って、この言葉を言った人は生きている間、どれだけ人にさげすまれたてきたのだろうと思いました。だから、人を簡単にさげすんだらダメだと思い
ました。
授業担当者からのコメント:本人に全く責任の無いこと(歴史的な身分制度などを背景とした職業や居住地)で差別されてきた「部落の人達」の悲しさやつらさに共感し、
応援できる人間でありたいですね。
「外と内との価値観」
よく海外からは、日本人は自己を抑制する文化があるから、規律がしっかりしていると言われる。だけど、それって裏を返せば、自己を主張できないから人まねしかできないってことだと思った。
授業担当者からのコメント:鋭い分析(しかも、自己分析)ですね! 素晴らしい…。