授業№23・24 国学(賀茂真淵・本居宣長・平田篤胤)と民衆の思想(石田梅岩・安藤昌益・二宮尊徳)
T.Q.「真淵→宣長→篤胤の国学の変遷とは?」
T.A.
『万葉集』を研究した賀茂真淵は、高く直き心(「ますらをぶり」)を古道としてアピールした。その後本居宣長
は『源氏物語』を研究し、文芸の自律性を主張し、清潔・淡白な大和心が良いとした。また文芸的な国学を
説いた2人に対して、平田篤胤は政治的な国学を主張して、復古神道を確立した。
T.Q.「江戸時代の農民にとっての昌益と尊徳とは?」
T.A.
安藤昌益は「法世」を排して、全ての人が農耕を基本とする平等な「自然世」に復帰しなければならないと説き、
さらに自給自足が重要であるとして士・工・商を批判した。二宮尊徳は、農業は自然の営みである天道と主体
的な人間の働きである人道の調和が必要で、報徳思想を展開し分度と推譲を唱えて農村の救済を図った。
2022(R4)年度
10月21日(金)
「(真心)」 ※( )内は授業担当者
「自然な心情を真心(まごころ)と説く」。私はこの言葉がとても好きです。なぜなら、私が好きな「花鳥風月」の言葉に
結びついていると思ったからです。
授業担当者のコメント:「花鳥風月」という言葉を調べてみたら、①「天地自然の美しい風景」 ②「風流な遊び」という
二つの意味が出ていました。「真心」と深く結びつくのは、むしろ②の意味だったりして…。それ
こそ『源氏物語』の色んな場面に、「風流な遊び」が登場するし。あと、①と②を合わせたら、
花や鳥、美しい風景や月を見て(愛でて)、詩を詠んだり楽器を演奏したり歌を唄ったり…とても
いいですね!
「二宮尊徳」
「天道と人道」という言葉が印象に残った。なぜなら、人間の努力だけですごく頑張っても良いとは思うけど、自然の力にも
頼ることでもっと良い事が起こると思うからです。
授業担当者のコメント:昨年度の生徒で、「人間の努力だけじゃ、変わらないものもある。だから、自然の力と人間の力の
調和で、変わるものが多くあるんじゃないか、と思う」と書いてくれた人がいました。私のコメントは
以下の通りです。「『変わるもの』の中には、地球環境の保全につながる『持続可能な開発』が入る
といいですね。SDGs(エス・ディー・ジーズ。「持続可能な開発目標」)はこれからの世界で、
すごく大事な考え方と行動ですからね。江戸時代まで(近代化以前)の日本人が自然と共生できていた
ことを、うらやましく思います」。参考にしてください。
2021(R3)年度
10月1日(金) 3I倫理
「万葉集」
今まで、『万葉集』を読んだことがなかったけど、「一番人気の歌」がとても素敵でした。なので、これを機に読んでみたい
と思いました。
授業担当者のコメント:私も大好きな歌(和歌)です。では、もう一度紹介します。
茜(あかね)さす 紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き
野守(のもり)は見ずや 君が袖(そで)振る
※紫野…夕日を浴びて、紫色に染まった野原
標野…狩りをしている野原。京都の郊外
野守…狩り場の番人
袖振る…求愛のしぐさ
「(真淵と宣長の中国批判)」 ※( )内は授業担当者
賀茂真淵と本居宣長の2人とも中国を批判していたことに、とてもびっくりした。(しかも、どちらも)遠回しでなく、
「からくに」や「漢心(からごころ)」と、はっきり言っていて面白かった。
授業担当者のコメント:「否定」ではなく「批判」であることには注意しましょう。「批
「建設的な批判」とか「生産的な批判」とか…。今の我々には、多様性の大切さを学ぶことが必要
ですし。日本文化も中国文化も「みんな違って みんないい」ですよね。
「正直(せいちょく)」 ※( )内は授業担当者
「取引は公正に」とは、人間にしかできないことだと思いました。(そして、) win win (ウイン ウイン)な関係(石田梅岩の
言葉では、「先も立ち 我も立つ」)というのが、とてもいいことだと思ったし、社会に出て、取り引き(をすること)があったら、
正直(せいちょく)でいこうと思いました。
授業担当者のコメント:win win (ウイン ウイン)の意味は、win が「勝つ」なので、商品を買う方も商品を売る方も、どちら
も得をするということです。商売(あきない)や商人(あきんど)の、本来あるべき姿だと思います。
「ブラック企業」の悪徳商人の真逆ですね。そして正
10月27日(水) 3K倫理
「天道と人道」
人間の努力だけじゃ、変わらないものもある。だから、自然の力と人間の力の調和で、変わるものが多くあるんじゃないか、と
思う。
授業担当者のコメント:「変わるもの」の中には、地球環境の保全につながる「持続可能な開発」が入るといいですね。SDGs
(エス・ディー・ジーズ。「持続可能な開発目標」)はこれからの世界で、すごく大事な考え方と行動です
からね。江戸時代まで(近代化以前)の日本人が自然と共生できていたことを、うらやましく思います。
「報徳思想」 ※( )内は授業担当者
報徳思想は、「周りからの恩を返す(自然や親、祖先などに恩返しをする)」って感じが、「努力は必ず報われる」と似た感じが
する。なので、良いことをすれば良いことが返ってくる感じが、結局、自分のためになるので良いと思った。
授業担当者のコメント:二宮尊徳(金次郎!)の報徳思想は、日本の陽明学者、中江藤樹の「根本は孝」の考え方に似ていますが、
「自分を生み育ててくれた存在」に、自然を加えている点が面白いと思います。さすが、江戸幕府から
農業政策を任された人ですね。
2020(R2)年度
9月30日(月) 3K倫理
「(天道と人道の調和)」 ※( )内は、授業担当者
自然との調和(の大切さ)は、自分も良いと思った。しかし今は、(自然に対して人間の)手が加えられ過ぎたり、機械化によって自然の美ではなく人工
美(人工的な美しさ)が多い。
授業担当者のコメント:里山や里海(人間の手が程度に入り、人間とそれ以外の生き物が共生できる穏やかな自然)が少なくなっていることに、私も危機
感を抱いています。AI(人工知能)やロボットも、自然と調和させることがとても大事だと思います。「自然=いのち」だと思
います。
「私利私欲」
今日の授業の中で、「私利私欲は少し悪徳だ」とありました。でも僕は、自分に正直になって、まず自分が幸せにならないと、周りを幸せにできないと思
います。
授業担当者のコメント:宮沢賢治の次の言葉を想い起こしました。「世界全体が幸福にな
いとこ取り」ができるとよいですね。あと、石田梅岩が生きた江戸時代の日本には、私利私欲に走る悪徳商人が多かったのでしょ
ね。時代劇の悪役(「お主も、ワルじゃのう」)みたいな…。
9月30日(月) 3C倫理
「(天道と人道の調和)」 ※( )内は、授業担当者
便利な世の中をつくっているつもりでも、古い考え方、自然と調和して生きていくことが人間の幸せだと思った。だから、古い考え方も忘れずに取り入れて
いけたらいいと思った。
授業担当者のコメント:なるほど、自然(山や川や海、森のみどりや水のきらめき、朝夕
淵の「高き直き心」や宣長の「真心」など)との調和も大切なのですね。この「温故知新」を、あなたに教えられました。
「(報徳思想)」 ※( )内は、授業担当者
親とか祖先だけでなく、自然にも目を向けるのは良いことだと思った。また、そのおかげで今の自分がいるのと思ったから、全てに感謝しようと思った。
授業担当者のコメント:二宮尊徳(金次郎!)の報徳思想は、日本の陽明学者、中江藤樹
れた存在」に、自然を加えている点が面白いと思います。さすが、江戸幕府から農業政策を任された人ですね。
2019(H31→R元)年度
10月1日(火) 3I倫理
「商売」 ※( )内は授業担当者
安藤昌益は、「商人が安い所で安い物をたくさん買い、それが高く売れる所でたくさん売ることで利益を得るのは平等(フェア?)ではない」と主張した(と先生は言った)。
けれど、それでは商人が商売できなくなるので、そうなるのはしかたないと思う。
授業担当者からのコメント:今回の授業は、中国の文化を悪く言うことで(「からくにぶり」、「からごころ(漢心)」)、日本の良さを強調する国学を紹介しました。そして、商人
を悪く言うことで、農業中心の自然世を理想とする安藤昌益を紹介したのです。比較することで、特長(特徴ではなく、「特別な長所」)をクッキリ、
ハッキリさせる手法ですね。
「つながり」
自分一人では、生きていけない。親や祖先のおかげで、今の自分があるんだなと思いました。そしてそれは、映画「ドラえもん」のエンディングテーマ曲「生きてる生きてく」
の考え方に似ています。
授業担当者からのコメント:「生きてる生きてく」(詞・曲・歌:福山雅治)を紹介します。
~♪~不思議なものだ 子どものころは 大人になんてなれないのに
大人になれば 「ときめく」だけで いつでも子どもになれる
いままで生きて 出した答は 正解よりも間違いのほうが多いよ
僕は間違いながら 大人になってきたんだ
こんな僕の人生の いいことやダメなことが
100年先で頑張ってる遺伝子に 役に立てますように
いまを生きてる…
そうだ僕は 僕だけで出来てるわけじゃない
100年 1000年前の遺伝子に
誉めてもらえるように いまを生きてる
この生命で いまを生きてる
今日も生きてく~♫~
10月2日(水) 3K倫理
「報徳思想」 ※( )内は授業担当者
僕は、今の自分があるのは、親・祖先を含めた自然と環境(だけではなく)、そして自己のおかげで成り立っていると思う。なので、報徳思想には、あまり共感できない。
授業担当者からのコメント:…うーん…。これもコラボレーションなのではないでしょうか。自己を取り巻く自然や環境と、自己そのもののコラボ。「死んだら、すべて終わりですか?」
の問いに、「否!」と答えたい。そう、「100年 1000年先の遺伝子」のためにも!