授業№16 朱子学、陽明学、老荘思想

T.Q.「タオイズム(老荘思想)のユニークさとは?」

T.A.
何事にもとらわれず、ありのまま(自然)に生きることが無為自然であり、人間は常に柔弱兼下でなければ
ならない。孔子の人倫の道をも否定し、人知では到底およばない境地を見出した「道」こそが、タオイズム
(老荘思想)の一番のユニークさといえるだろう。

2022(R4)年度

9月13日(火)

「-(マイナス)」 ※( )内は授業担当者

人や物などには-(マイナス)面があり、そのマイナスがあるから人生はよりよくなっていると考えた時、(次のように考えられると思う。
つまり、)数学の計算でマイナスとマイナスを掛けてプラスになるから、人や物などであっても、お互いのマイナス面を掛け合わせると
プラスになる、つまり、補い合ってプラスになるんだと。

授業担当者のコメント:人間関係や国際関係(国と国との関係)に、「敵の敵は友達」や「友達の友達は友達」という考え方があります。
           そのこと(一つの真理?)と併せて考えても、道家(老子や荘子)の思想って面白いですね。そして、あなたが
           書いてくれた「補い合ってプラスになる」というフレーズが、心に刺さりました。

「(がまんも大切)」 ※( )内は授業担当者

無為自然はとても良い考え方だと思うが、みんながそれ(無為自然な生き方)にはならない。なぜかと言うと、私は、がまんも大切だと
教わったから。

授業担当者のコメント:なるほど、まさにそうですね。両方の「いいとこ取り」ができるといいですね。例えば、場面ごとに「無為自然」
           (暑いからクー
ルビズなど)と「がまん」(暑いけど背広)を使い分けるとか。

「(陽明学を選んだ理由)」 ※( )内は授業担当者

「人間性を高めなさい」(と強制する)朱子学に対し、「おおらかに、自然のままに生きよう」(と「推す」)陽明学に賛成できた。だから
先生が卒論として陽明学を選んだ理由がなんとなくわかった気がした。

授業担当者のコメント:ありがとうございます。私が当時在学していた大学の教授に、卒論のテーマや内容について相談したらこんなアドバイス
           をもらい
ました。「向出君は、自分自身として今まで頑張ってきたこと・今頑張っていることを、卒論で表現すれば
           いいんですよ」。この
言葉が大きな救いとヒントになって、陽明学を選びました。当時私は、「ひまわり子ども会」
           というボランティアサークルに入っ
ていて、将来は特別支援学校の先生になり、障害を持つ子ども達の教育に携わろう
           としていたのです。だから、陽明学の「心即理」
や「知行合一」の考え方を深く学ぼうとしたのでしょう。

2021(R3)年度

9月14日(火) 3I倫理

「コップ」 ( )内は授業担当者

「空(カラ)だからこそ役に立つ」という言葉に、なるほどと思いました。なので、私は、考えすぎてコップの水をあふれさせるよりも、
空(カラ)でいることが大切だと思いました。

授業担当者からのコメント:あなたには、「考えすぎて一杯いっぱいになってしまった経験があるのですね。「道とは何ですか?」という
 質問に答えて、老子は「無だよ」と答えたそうです。それは「無心」(邪念のないこと。素直で自然な心)とか
 「無こそが有。無用の用」(逆説的な真理。たとえば、冬は寒いからコタツで暖かいなど)という言葉で説明
 されるポジティブな「無」のことです。
「ポジティブな受け身」も、時には必要なのですね。

「人間性」

私は今日の授業を聞いて、「ありのままでいることは大切だ」と思った。でも、その中でも「人間性を大切にしたい」と思った。

授業担当者からのコメント:あなたは、儒家が理想とする人( ex. 夏でも背広)と道家が理想とする人( ex. 夏ならクールビズ)の
 「両方のいい
とこ取り」ができていますね。素晴らしい!

「(無題という題)」

むずかしかった。でも、少し分かった気がする。

授業担当者からのコメント:素直な感想、ありがとうございます。陽明学の「知行合一」(知るは行うのはじめ、行うは知るの完成)の考え
             方を大切
にして、少しでも分かったことを実際に行ってみてくれるともっとうれしいです。一緒に、ガンバロー!

9月15日(水) 3K倫理

「自然」 ( )内は授業担当者 

自然の説明を見て(「自ずから然り」という意味)、確かにそうだなと思った。(なぜなら、)例えばゴミを海に捨てれば、自然はそのまま
(そのダメージを)表して環境が悪くなっていくと思ったからだ。

授業担当者のコメント:なるほど、マイクロプラスチック=海洋ゴミが海を汚しているという環境問題について、真剣に考えさせられる
           「ウルトラ80」です
ね。それが海の生き物の身体に取り込まれ、食物連鎖のプロセスを経て人間の体内に入り、
           ブーメランのように人間にダメージを与え
るという悪循環…「人間勝手や人間ファースト(優先)」の考え方
           行動は、結局人間自身を滅ぼすことにつながるということですね。
「自分勝手や自分ファースト」が自分自身を
           ダメにするように…。

「ありのまま」  

ありのままに生きられている人は、少ないと思った。なぜなら、ありのままに生きると嫌われると思っている人が多いからだ。だが、
ありのままに生きることはとても大切なことだと思う。

授業担当者のコメント:TPO(時と場所と場合)で、よそおい「仮面」も含めた「ありのままの自分」を使い分けることができれば、
           自由に生きられる
かもしれませんね。

「(危険)」 ( )内は授業担当者 

「空っぽだからコップ(として用いられ役に立つ)」や「冬は寒いから暖かい(コタツがうれしい)」など、逆の考え(逆説的な考え)は
面白いと思った。しかし、役に立たない人間を肯定しすぎるのは危険だと思った。(その人が成長しなくなるから。)

授業担当者のコメント:確かに、何事も極端はNGですよね(アリストテレスの「中庸」と仏教の「中道」)。肯定しすぎるのも、否定
           しすぎるのも。後者
については、「重度の障害者安楽死させるべきだ」という津久井やまゆり園の事件で植松
           犯人(死刑囚)が主張した言葉のこと
を考えさせられます。その言葉には、「役に立たないから殺していい」と
           いう危険な思想が入っています。重い障害を持っている
人も、我々と同じ人間です。老荘思想で言えば、「我々
           以上に人
間」です。つまり、障害(ハンディキャップ)やそこから生まれる壁(バリヤー)に挑戦しているという
           意味で、障害を(今は)
持っていない(と思っている)人以上に、「人間的な立派さを発揮して」生きているという
           ことです。「障害を持っている人に世
の中が光を当てるのではなく、障害を持っている人が世の中の光として輝く
           ことができるようにしよう」(日本の「障害福祉の父」
糸賀一雄の言葉より)。

「(ごちゃごちゃ)」

先生みたいな人が多すぎる。だからごちゃごちゃになる。

授業担当者のコメント:私は、教えようとしすぎで、教えすぎな先生なのかもしれません。ごちゃごちゃにならないような教え方ができる
           ように、工夫と努
力で頑張ります。

2020(R2)年度

9月11日(金) 3C倫理

「(心をやわらかく)」 ( )内は、授業担当者 

からっぽには、色んな使い道があるんだと思った。(そして)竹って、そういえばやわらかいから折れないんだって納得した。心をやわらかくしていきたい。

授業担当者のコメント:私は、あなたの書く「ウルトラ80」のファンです。毎回、読むのを楽しみにしています。

「道(タオ)」 ( )内は、授業担当者 

無為自然や柔弱兼下(じゅうじゃくけんげ)の考え方が、好きだと思った。(そして、)からっぽには色んな使い道があるんだと思ったし、自分がマイナスだ
と思っていることも一つの強みになると思った。

授業担当者のコメント:私の「マイナスで強み」は、間違い(失敗や過ち)が多い人生(マイナス)を歩んできたからこそ、人の痛みがわかる(強み)という
                ことです。「あなたはこれまで多くの間違いをしてきたが、あなた自身は間違いではない」と教えて(慰めて、励まして)くれたのは
                佐野元春というシンガーソングライターの「約束の橋」という歌です。~♪~今までの君は間違いじゃない 君のためなら 七色の橋
                をつくり 河を渡ろう~♫~

「自然」 ( )内は、授業担当者 

今日の授業を通して、ありのままで生きる自然さが大切ということが分かった。(だから、入社試験などの)面接で(回答に)詰まってしまっても、表情とか
をありのままで自然な感じでいこうと思った。

授業担当者のコメント:これこそ、倫理の授業で学んだことを生きることに活かすという好例ですね。入社試験や入試に面接があって、どちらかというと
                苦手な人にとって、よいアドバイスになると思います。

9月14日(月) 3K倫理

「無用の用」 ( )内は、授業担当者 

人に、何の役にも立たない人はいないし、それは(たとえて言えば)水を入れる器がまだ完成していないだけなのだと思う。だから、自分も、満たされてしま
うことのない大きな器を、この高校生活で作りたい。

授業担当者のコメント:「満たされてしまうことのない大きな器」とは、素晴らしいたとえ(比喩)ですね。高校時代の自分と比べると、あなたの方がは
                るかに大人です。「大器晩成」と「大器早成」のどちらでもいいから、「大きい器」で生きてゆきたいものです。

「(そっと声かけ)」 ( )内は、授業担当者 

(「空っぽだから、吸収できる」という)老子の考えはすごく分かるし、逆に中身がしっかりしていて、いつも笑顔の人ほど悩んでいて弱い(のかも)と思った。
だから
、そんな人がいたら、そっと声をかけて安心させてあげられるようになりたい。

授業担当者のコメント:あなたの優しさは、筋金入りですね。あなたが1年生の時、音楽室の掃除で出会いましたね。「向出先生への俺のため口(友達言
                葉)には、先生への愛が入っている」の台詞(セリフ)が、とても嬉しかったことを思い出しました。

「(結局、世の中はカネ)」 ( )内は、授業担当者 

今回(の授業)は、後半、自由(に生きる)とかのキーワードが多かった気がする。でも、(強さとか富に)とらわれないなんて無理だと思うし、結局は、
世の中はお金で動いていると思う。
 

授業担当者のコメント:あなたの考え方を受け止めます。しっかり受け取りました。でも、受け入れることはできません。なぜなら私の考え方は、老子の考
                え方と同じで、「知足者富」(足るを知る者=自分の持っているもので満足できる人こそが富んでいて豊かに生きられる)だから
                です。そして老子は、こんな言葉も残しています。「勝人者有力、自勝者強」(人に勝つ者は力を持っている人だが、自分に勝つ者
                は強い人だ)。しなやかに生きていくための参考になりませんか?

「(老子より陽明)」 ( )内は、授業担当者 

受け身だと誰も見てくれず評価されないから、積極的にいかなければならない。なぜなら、行うは知るの完成だから。

授業担当者のコメント:私なら、老子と陽明それぞれの考え方の「いいとこ取り」をして、次のようにいきたい(生きたい)です。みんなが見てくれて評価
                される受け身を知り、消極的なのに存在感をアピールできる人になりたい。なぜならそれも、行うは知るの完成だから。

2019(H31→R元)年度

9月11日(水) 3K倫理

「道家」

これから生きていく中で、無為自然という言葉を大切にしようと思った。なぜなら、ありのままに生きないと楽しくないし、自分を出すことで変えられることもあると思うから。

「無」

無の大切さを知ることで学んだことは、「学歴だけではなく中味が大切」ということです。そして私は、この総合学科である寺井高校に来てたくさんのことを学んだと思います。
来て良かったと感じました。

「?」

今日のはなんだか、よくわからなかったです。だからまだまだなんですけど、これからの授業でわかっていけたらいいなと思いました。

授業担当者からのコメント:「まだまだなんですけど」が、ソクラテスの言う「無知の知」で老子の言う「空っぽだからコップ」だと思います。私も同じですよ。きっと一生よくわか
                 らないし、まだまだだし、これからの授業でわかっていけたらいいなと思います。


「(目の前の一歩と頂上)」 ※( )内は、授業担当者

目の前の一歩に集中することが大切だという事に、深く共感した。しかし、一歩だけでは制限時間を設けられれば、頂上に届くことはないだろうと思った。

授業担当者からのコメント:制限時間(高校3年間とか、人生80年<?>とか)があるから「今だからこそ、この一歩」を踏み出せるのでは? 制限時間内に頂上に届くかどう
                 か、試してみないとわからないし、確実に言えることは、最初の一歩を踏み出さなければ絶対に頂上にたどり着けないということ。そして頂上にたど
                 り着くこと以上に価値のあることは、「頂上を目指して本気で頑張った」ということでは? 「人生の遺産」になるような生き様として。


「無。」

私には「これが長所だ!」と言えるところが思いつかないけど、短所は長所に変えるためのバネだと思いました。そしてこれも、「空っぽだからコップ」という考え方と似たような
ものかなと思いました。

「正義」 ※( )内は、授業担当者

理(朱子学の理気二元論の理)は「正しさそのもの」、気は(理が実現されている)「正しい人」。これはヒーローだと、どっちも持っているということなのかなと思いました。そして
正義のヒーローの正義が、どのようなものなのかを知りたいと思いました。

「無為自然」

ありのままに生きる、そしてありのままの自分を受け入れてもらうことは大切だなと感じました。なぜなら、今の自分は正解を探しすぎて、自分が分からなくなってしまうことが
あるから、自分が自分でいるために必要なことだと思ったからです。