授業№8 ヘレニズム哲学(ストア派とエピクロス派)
T.Q.「ヘレニズム哲学の特色と時代背景とは?」
T.A.
ヘレニズム哲学は宇宙観と幸福論を大切にした。ストア派とエピクロス派に分かれ、前者は「情念の克服
(アパテイア)」を真の幸福とし、それに至る手段として禁欲主義を、後者は「心の平穏(アタラクシア)」の
ために精神的快楽主義を主張した。また、ストア派はローマでも流行した。背景には、ポリスの崩壊と
アレクサンドロス帝国の成立による世界市民主義と個人主義への傾きがあった。
2022(R4)年度
6月14日(火)
「(エピクロス派)」 ※( )内は、授業担当者
自分はエピクロス派だと思った。(なぜならば、)都会で暮らすのではなく田舎で静かに暮らす方がいいと思ったからで、
「隠れて生きよ」のエピクロスさんとは気が合うと思った。
授業担当者のコメント:私も同感です。そしてエピクロス派が大切にした「精神的で永続的な快楽」は、私にとってはバイク
(ツーリングの旅が中心)とギター(弾き語り)などです。あなたにとっての「肉体的で刹那的では
ない快楽」は、何ですか?
「死の考え方」
「魂は不滅ではない」という科学的な考え方がすごいと思ったし、「死は恐くない」と考える理由が逆に恐いと感じた。なので、
死も人それぞれでいろんな考え方があると思った。
授業担当者のコメント:先日、「20歳のソウル」という映画を観てきました。20歳でガンのため亡くなった、千葉県市立船橋
高校吹奏楽部の男子生徒(高校3年生の時に、野球部の応援曲「市船ソウル」を作曲)の実話に基づく
映画です。映画の中で吹奏楽部の顧問の先生が、「死は生の一部だと思う」と言っていました。あと
思い出すのはジブリの映画「ゲド戦記」で、主人公の少女テルーが少年アレンに、「あなたは死ぬこと
を恐れているんじゃない。生きることを恐れているのよ」と言う場面です。死ぬことを生きることの
一部として受け止め、生きることを恐れずに生きることができるようになったら、死ぬことも恐くなく
なるのかもしれないと思います。
2021(R3)年度
6月8日(火) 3I倫理
「(精神的な快さ・楽しさ)」 ※( )内は授業担当者
ストア派とエピクロス派、2つの生き方があることを知ることができた。(そして)私は、精神的な快さ・楽しさを
求めたいから、エピクロス派についてもっと知りたいと思った。
授業担当者のコメント:私も同感です。私にとっての「精神的で永続的な快楽」は、バイクでツーリングの旅をしたり、
ギターで弾き語りすることかなぁ。結構、個性的な持ち味(アイデンティティになっている!)
だと思って、気に入っています。あなたには、何かありますか? それとも、これから見つけて
いくのでしょうか。これはもう「生活」というより「人生」ですね。
私は、死ぬことは恐いことだと思っていました。でも、エピクロスが言った通り(生きている時は死んでいなくて死と
無関係だし、死んだら生きていないから)、死ぬ恐さを感じることはないということが分かったので、恐れる必要はない
と思いました。
授業担当者のコメント:ジブリ作品の映画「ゲド戦記」で、主人公の少女テルーが少年アレンに、「あなたは死ぬことを
恐れているんじゃない。生きることを恐れているのよ」と言う場面があります。そのことを思い出
させてくれた「ウルトラ80」でした。生きることを恐れずに生きることができるようになったら、
死ぬことも恐くなくなるのかもしれませんね。
「魂は不滅ではない」 ※( )内は授業担当者
もし、魂が存在するとしたなら、虫や動物などをむやみに殺せないと思いました。でも、牛や魚などの命を(奪って、
その肉を)食べて生きているので、しかたがないことなのかなとも思いました。
授業担当者のコメント:エピクロスは唯物論(世界は物質で成り立っているという考え方)にもとづいて、「魂も物質
みたいなもので、肉体が滅びたら、魂も一緒に滅びる」と言っています。だからこそ「生きて
いられる限られた時間を、気分よく落ち着いた気持ちで毎日過ごしていくこと」が大切だと…。
優しいあなたは、生き物の命だけでなく魂までも奪って生きている残酷な人間の現実を直視して、
心を痛めているのですね。
6月9日(水) 3K倫理
「ストア派」 ※( )内は授業担当者
僕は、人間の自然さは、理性的にではなく、本能的に生きることだと思う。(だから、ストア派の考え方は間違っている
と思う。)
授業担当者のコメント:よく考えてみてください。「動物という生き物」としての人間の自然さは、あなたの言う通り
本能的に生きることなのでしょうが、他の動物と違って「理性を持つ生き物」としての人間の
自然さは、ストア派の言う通り理性的に生きることなのです。誰でも、本能的な欲望のままに
人を傷つけたら、良心の痛みを感じるのではないでしょうか。その良心も理性なのです。そして、
せっかく理性を持っている(神とか自然とか運命とか、何か偉大な存在から与えられたギフト
「贈り物」?)のですから、それを発揮して生きていきたいです。肉体的快楽や刹那的な享楽に
溺れるのではなく…あ、やっぱり快楽主義のエピクロス派と同じですね。
「精神的で永続的な快楽」 ※( )内は授業担当者
自分はどちらかというとエピクロス派の思想に近いのかな、と思った。なので、自分も向出先生にとってのバイクみたいに、
人生を豊かにする永続的な快楽(快さ・楽しさ)を見つけたい。
授業担当者のコメント:うれしい「ウルトラ80」です。バイク(大学4年生の1986年に購入。なんと、もう35年連れ
添った「人生のパートナー」)の他には、ギター(高校1年生の1979年に、亡き父に買っても
らった。…42年目!)やバドミントン(高校1年生から)も、私にとっての「精神的・永続的な
快楽」です。…あ、倫理や世界史の授業や、読書に映画に旅行もそうか。人生に欲張りな私です。
「死ぬこと」 ※( )内は授業担当者
エピクロスの「死んだ時にはもう生きていないから、恐さを感じない」という言葉(と考え方)を知った。そして、自分が
死ぬことを怖がる理由は、周りの人との関係が無くなってしまうことだから、(エピクロスが)言っていることは分かるが、
共感はあまりできないと思った。
授業担当者のコメント:なるほど、これは仏教の思想にある「愛別離苦」の教えですね。ブッダは生きる苦しみの1つとして、
「愛する人とは、いつか別れて離ればなれになること」を明らかにしました。そして、「だからこそ、
愛する人と生きられる限られた時間を大事にしよう」と…。あなたが自分の周りの人達を大切にして
いて、周りの人達から大切にされていることが伝わる「ウルトラ80」です。
2020(R2)年度
7月1日(水) 3K倫理
「振り返り」 ※( )内は授業担当者
欲求(本能や欲望)が抑えられたら、今の生活はこんなに進んで(便利で快適になって)いないだろうと思った。(そして)、もし、禁欲主義(ゼノンが
唱えたストア派哲学の流行)が続いていれば、今(のような文明)はないと思う。
授業担当者のコメント:なるほど、物質的・経済的な豊かさは、極端な禁欲主義の考え方
適度な禁欲主義からしか生まれないかもしれませんね。どちらも大事だと思います。
「(死の怖さ)」 ※( )内は授業担当者
死んだときにはもう生きていないから、恐さを感じない。だが、理性的にそれを分かっていても、本能的に恐さを感じてしまうと思う。
授業担当者のコメント:なるほど、死に対する恐怖は生存本能なのですね。そして神様が
れているのかもしれませんね。だから…神様を悲しませないためにも、みんなで生きていきましょうね。 ~♪~いつの時代も
悲しみを避けては通れないけれど 笑顔を見せて 今を生きてゆこう~♫~(「手紙
〜拝啓 十五の君へ〜」より)
7月8日(水) 3C倫理
「授業」 ※( )内は授業担当者
「自然に生きる」って聞くと、本能的に生きることだと思っていた。しかし、理性的に生きること(が人間にとって自然)を初めて知って、なるほどなと
思った。
授業担当者のコメント:人間が他の動物と違っている点を中心に考えたら、「理性に従う」
の動物と同じ点を中心に考えたら、「本能に従う」イコール「自然に従う」になるのですね。もしも面接試験で質問されたら、前
者で答えてください(笑)。
「(好きな物に名前)」 ※( )内は授業担当者
先生みたいに物(バイク)に「スイミー」と名前をつけるくらい愛着をもつのは良いと思った。なので私も、名前まではつけないけど、物を大切にしようと
思った。
授業担当者のコメント:絵本「スイミー」の主人公は「カラス貝よりも真っ黒」な小魚で、仲間の赤い魚たちの中ではつらいこともありました。でも、大き
くて乱暴な魚に仲間が食べられそうになったら、みんなで集まって大きな赤い魚のふりをしてその乱暴者を撃退しようとします。
その時スイミーが言った言葉は…「僕が目になろう」。スイミー、君だけが持っている黒いという持ち味(個性)を、みんなと自分
自身のために発揮できてよかったね。…涙が出ます。
「(死んだら全て終わり」じゃない!」 ※( )内は授業担当者
死なない人はいないが、死んでも有名(なヒーロー)だったりすると、みんなの頭(の中)や世界からは消えないと思う。それは、特にNBAのコービー・
ブライアント(今年の1月26日死去)。
授業担当者のコメント:あなたにとって、「バスケットボール・プレイヤーのイデア(理想)」なのですね。私にとっての「バドミントン・プレイヤーの
イデア」桃田賢斗のような…。
2019(H31→R元)年度
6月5日(水) 3K倫理
「(禁欲主義と快楽主義)」 ※( )内は授業担当者
ゼノンとエピクロスは、それぞれ禁欲と快楽というように言っていることは違うのに、結論が同じ(肉体的で刹那的な快楽については禁欲で生きよう)になるのが深いと思った。
また、「死は怖くないが、病気は怖い」(エピクロスの考え方)というのが心に残った。
「生死」 ※( )内は授業担当者
死ぬのが怖くないとなれば、現代社会において、たくさん死者が出ると思う。しかし、(それと同時に)生きることが怖くなくなれば、その割合は比例する(釣り合う)と考える。
「禁欲」 ※( )内は授業担当者
自分は、食欲や金欲(金銭欲)を禁欲するということは無理だと思います。そして、それは自分が人間だからだと思うし、それでもできるだけ禁欲していきたいと思っています。
授業担当者のコメント:完全な禁欲が不可能なのは、人間に他の動物と同じように本能があるからです。そして、それと同時に限定的な禁欲が可能なのは、人間には理性が
あるからではないでしょうか。
6月7日(金) 3I倫理
「死」
死は恐れない方がいいと、今日の授業で思いました。なぜかというと、死を恐れるあまり何かすることが出来なかったり、死の事ばかり考えることによって人生が狭くなるよう
な気がしたからです。
「幸福論」
人生の目的とかを見つけられないまま生きているのは、行き先不明のバスに乗っているのと同じだなと思った。そして、自分が幸福になるためには何をしたらいいのか、考え
ようと思った。
「死は怖くない」 ※( )内は授業担当者
「死んだ時には、もう生きていないので、恐さを感じない」と(エピクロスは)言っていて、自分は納得しました。しかし、死ぬまでの間の恐さはどうすればいいのでしょう?
授業担当者の回答:死ぬまでの間の恐さとは、「自分の生(自分が生きてきたこと)に満足できずに、それが中断されたら嫌だな」という不安が原因なのではないでしょうか。
その不安を取り除くためにも、「今を、よく、生きる(それを積み上げていく)」ことが大事だと思います。