「郵便局で」 


 マフラーにくるんだずっと借りていたCDとDVD、そしてあなたの卒論。

 「これ、小包で送りたいんですが…」と、窓口の年配の女性に見せたら、

 丁度よい大きさの箱をくれた。

 たった一つ残した封筒(送り先住所が書いてある)の、あなたの名前の近くに、

 万感の思いを込めて最後の言葉を書いた。
 

  「自由な お月様へ、

   星の友情を 込めて」


 書き終えて小包を渡したら、窓口の人が何も言わずにポケットティッシュを手渡してくれた。

 最初から涙目になっていたからかもしれないけれども。

 その人には職業柄、もう何度も見た光景だったのかもしれないけれども、

 心の底から「ありがとう」。